ワンド☆生命エネルギーにより生まれる「意志」の力
私達が行動を起こす時、目には見えない何かのエネルギーが湧いてくるのを感じますね。
いわば生命のエネルギーのようなもの、「活力」があるから行動を起こせます。
時には「何もしたくない」ってなり、動けない時もありますが、こういう時ほど、生命エネルギーって確かにあるんだなと実感できますね。
人は何かの行動を起こす時、まずは「よしやろう」と決意しますね。この決意がきっかけでエネルギーが湧いてきて、実際に行動の原動力になるみたい。
もちろん大きな行動を起こす時は、強く明確に決意を固めますが、これが「意志」を決めるということですね。
人間には自分で自覚できる「意識」と、自分では自覚できない「無意識」の心があるといわれますが、
「意志」は明確に「意識」の中で生まれる心の働きです。
タロットの4つのスートの一つ「ワンド」は、生命エネルギーが高まることで生まれる「意志」の力と、
そこから生まれた「行動」を表しています。
ウェイト版タロットの小アルカナ、ワンドの絵柄は、東方遠征で有名な古代ギリシャの英雄アレクサンダー大王がモチーフです。
若きアレクサンダーは、まだ見ぬ未開の地に夢をはせ、世界各地に遠征し、世界を統一することで、人々を更に豊かにしていこうという志を持っていたと、物語が展開されます。まさに人の持つ「意志」の力の象徴のようですね。
次々に新しい地を開拓するアレクサンダーの遠征軍。しかし十分なまでの富を手に入れた兵たちは、これで十分だと満足してしまい、遠征を拡大し続けようとした大王から、心は離れていった模様。
最後のワンド10に描かれているのは、たった一人で幾つもの責務を抱え、前に進もうとしているアレクサンダーの姿です。
ここで忘れてはならないのが、歴史の評価です。
西の国から見た場合は、アレクサンダーは富をもたらした英雄かもしれません。しかし東側から見たら、単なる武力による侵略者でしかありません。結果として各地の貿易が進み、東の国々にも富が生まれたかもしれませんが、犠牲になった命も少なくなかったはずですね。
アレクサンダーを突き動かしたのは、世界統一という理想ではなく、単なる「制服欲」だという評価もあります。遠征軍の兵たちが離れたのも、理想の名の元に、身内に犠牲を強いた大王への失望が原因だったかもですね。
タロットのワンドを順に並べてみると、最初の方は黄色の背景で明るいイメージなのに対し、後半は青の背景で暗さを感じます。決して大成功への道のりであったとは思えない構成になっていますね。
これを理想を夢見た初心を忘れ、欲に溺れていく物語と読むか・・
そもそも、どんなに強い意志を持っていても、人間は間違える生き物だと読むか・・。
人には欲があります。欲は無くすことはできないと思います。でも欲があるからこそ、新しい何かを生み出すのも事実だと思いませんか?
やはり本当の幸福をつかむ為には、人の意識に生まれる「意志」が、宇宙生命の「意思」と同じになっていくことが大切なのかもしれませんね。
こうした変化が、タロットでは大アルカナに現れると考えられますが、
実際の人生によっても、未熟な私たちに、宇宙生命からは様々な形でメッセージが送られてきているに違いないです。
実際のタロットリーディングにおいては、ワンドもソードも、何かに「挑戦」するという共通点があります。
ワンドは「意志」 想いから生まれる力であるのに対し、
ソードは「思考」 つまり頭で考えることによって「こうしよう」とする力。
ソードは剣が象徴しているように、武器ですね。
何かと競争し、その何かと戦ってでも突き進もうと思う心の象徴。
だから単純に、挑戦する心の強弱だけで捉えた場合は、ソードの方が強いかも。
「何かの犠牲を払ってでも進んでいくぞ!」という強いエネルギーがあるからです。
ワンドの意志からは、自然と「行動」が生まれますが、
ソードは「思考」に強く現れるので、「行動」として現れるとは限りません。
「言葉」として他者を攻めるか、または怒りのような負のエネルギーが、心の中で自分を責めてしまい、ストレスとして心が傷ついていくことも多いような気がします。
もちろん実際の心の中では、「意志」も「思考」も「感情」も同時にあるのが普通の状態なので、
どの要素が強調されているかで捉えましょうね。
また、タロット全般的に言えることですが、一般的な解釈事例では、具体的な事例を暗示しているキーワードもたくさんありますが、必ずしも、そういう結果になるというわけではありませんので。
そうではなく、今の心の状態がこうなっているから、このまま進めば、こういう結果になりますよ、というメッセージとして捉えましょう。
だから悪い未来が予測されても、今の自分を変えさえすれば、未来はいくらでも変わるということ。
特に小アルカナの示す心の状態は、意識できている心なので、
もし好ましくない結果が予測できたら、すぐに修正することも可能なはずですね。
決まった未来などありませんから。