タロットでは何がわかるのか？

私たち人間の生命は、本来は宇宙生命と同一な生命です。
「全体」としての宇宙生命から、「宇宙生命の働き」として「個」の使命を受けて生きている存在です。
大宇宙をどこまでも広がる広大な「海」とした場合、人間は変化を起こす「波」のような存在。
波といえども、海そのものです。波は海の働きについた名前に過ぎません。

人間の心の中には、宇宙生命としての記憶もあるはずですが、その記憶が残っていたとしたら、誰もが皆、神のような存在となってしまい、人間である意味が無くなってしまいます。
その為、敢えて宇宙生命から、別の生命として誕生したかのように、宇宙生命の記憶を忘れていくのです。
私たちの意識の中に、まるで霧がかかったかのように、生命の本質が見えなくなり、「個」を意識するようになります。これが「自我」の役割です。

心理学では、人間の無意識の領域には、個人的無意識と、集合的無意識があるとされています。
集合的無意識には、人類全体に共通した生命が宿っていると考えられ、そこでは自分と他者も繋がっているのでしょう。

仏教哲学では、人間の心の奥底には阿頼耶識あらやしきと呼ばれる生命の領域があるとされています。ここには、善と悪の業ごう（カルマ）が貯蔵されているといいます。この業が原因となり、種が生まれ、そして未来の幸福か試練かという結果が生まれてくるというのです。
これは、阿頼耶識の中には、未来の可能性が無数に存在することを意味します。

スピリチュアルの世界では、宇宙全体、人類全体の記憶があるアカシックレコードを語り、最先端の量子力学では、全ての存在の生まれる場所、ゼロポイントフィールドという概念があったりしますが、いずれも阿頼耶識のことを指していると思います。

こうしてあらゆる分野の見解を学んでいくと、人間の心の奥底では、他者と繋がっているおり、未来の可能性も「心の内」にあると考えることができます。

これら生命の理論は、現代の科学では完全に証明できるものではありません。

そしてタロットが、人の未来に起きる出来事や、遠く離れた、会った事もない人の心の状態までわかることも、科学的に証明できるものでもありません。

しかし逆に考えると、タロットや占星術などがこれだけよく当たることは、現実の結果を持って、生命の神秘を証明しているように受け取れます。

タロットは、人の心の現在地を読みとり、そこから起こり得る未来の可能性を目に見えるものとして映し出すツールといえるでしょう。