大アルカナ4・皇帝 THE EMPEROR
基本的な意味
強い意志を持って決断する。
ひとりでも進む。大黒柱となる父。
逆位置
意志が強すぎて独善的になる。他者の言葉を聞いていない。(裸の王様のよう)
生命のストーリー
未来を切り開くのは、自分の「外」にある特別な力ではありません。自分の「内」、無意識の中にある心でもありません。未来を創るのは、人の意識の上にある、絶対にやり遂げるぞ!との強い意志の力です。
この意志の力で、「決断」をするから、無敵なまでの行動を起こすことができるのだと思います。
決断とは、言葉のとおり、何かを決めて、何かを断つことです。エンペラーは何を断つと誓ったのでしょうか?
このカードの背後には険しい山々があるのみで、エンペラーの行手は決して楽な道でない事が伝わってきます。彼はきっと、この未開の地に進むリスクを背負うのは、自分ひとりだけで十分だと決めたのではないでしょうか。誰か他の人の助けを期待するという弱い心を断つ!と決意したように、私には思えました。
皇帝エンペラーは、強い意志を固め「ひとり立つ」と決めた、勇気のカードです。
彼がこの先に、どのような行動を起こしていくか、そして彼の後をつづく者達が現れてくるか、それは今後の物語です。
本物の決意を実行に移していく者の後をつづかないはずは絶対にないと、私は思います。
さて、父親像にも様々な要素があります。時には優しく、時には厳しい父。このエンペラーのカードが示す父は、何があっても妻と子供達を自分の手で守るのだ!と決めた、父の想いなのではないでしょうか?
逆位置の読み方のポイント
このエンペラーのカードは、何か大きな事を決断した時を表すと捉えます。なぜなら、決断をする前の段階であれば、他のカードにいくらでも出てくるからです。
逆位置で出た場合は、「もう少しで決断する」というような時系列で読むことはせず、決断をしたのだけど、その悪い面が出ていると捉えたいと思います。
エンペラーのカードは、精神的には孤独のイメージがあります。「自分ひとりで進む」と決めているから。「他者の力は借りない」と、弱き心を断っているからです。
でも、この決断はかなり紙一重だと思います。本当に周りの人達の事を思い、仲間達の未来の為に、ひとりで立つと決めたのか、自分の事しか考えてなくて、周りはどうでもいいと思っているのかは、客観的に判断するのは難しいかもしれませんね。もちろん自分でもわかっていないと思います。
独善的になってしまっている場合は、逆位置で出るのだと解釈します。自分の事しか考えてなかったり、自分の力を過信していたりと、いわゆる「裸の王様」みたいな状態になっている時が逆位置の意味と捉えると、すごくわかりやすいかと思いますよ。
私の見解
エンペラーは、私の解釈の仕方では、簡単にイメージがつきやすく、さほど迷わないカードになるかと思います。
このカードからは、ものごとが起こるプロセスにおいて重要なポイントを学ぶ事ができると思うので、ここでお話ししておきますね。
現実に起こる全ての事には、原因と結果があります。何の原因もなく、いきなり起こる事などはありません。しかしその原因が、目の前の現実世界にあるとは限らず、過去世にある場合も考慮しないと、説明できないものがあまりにも多いです。だから、運命があるかのように捉えてしまうのでしょうね。
このエンペラーは、何か大きな決断を下しています。でも決断を下す前のプロセスが必ずあったと思います。この決断を下す道は、必ずしも平坦ではない事もカードは暗示しているような感じですね。
もしかしたら、彼が越えようとしている山は、過去世で越えられなかった山なのかしれません。
無意識の心が、「今度こそ絶対に越えるんだ」と挑戦のチャンスを喜んでいるかもですね。でも、過去世で失敗した体験が、恐れや不安として見えない感情に残っているであろう事も十分に想像できます。
思考の上でも、挑戦するべきか、しないべきか、悩みに悩んだと思います。大切な家族を置いて進まなくてはならないと、葛藤の連続だったかもしれません。
こうして無意識の感情でも、思考の上でも、悩みに悩み、そして決断を下したかのようなストーリーが目に浮かびます。決断するって、程度の違いはあるかもですが、こういう事なんじゃないかな?
未来は、この「決意」の中に決まっているのだと、私もまた学びました。
このエンペラーは、どっしりと椅子に座っています。まだ行動には移していない段階と読めます。それでも決意した瞬間に未来は決まっているのでしょう。
このカードが正位置の場合は、彼の決断が正しかった事を意味し、彼の後には、彼が切り拓いた道をつづく者が、または彼と共に進む者もいるでしょう。真のリーダーには、想いを同じにする者が必ずついてくるはずですね。
逆位置で出た場合は、裸の王様状態です。一時的な成功はあるかもしれませんが、人々の心は時間の問題で離れます。最終的には失敗する未来が、既に「今」の中に決まっているのだと思います。
これをタロットリーディングに置き換えた時、仮に逆位置で出ても、「あなたは失敗しますよ」とは決して読みません。今のあなたを変えなければ、こうなっていきますよ、という警告なのですからね。
タロットを見て、自分の「今」の心にある問題に気がつき、心を改めた瞬間、もう未来は変わっているのだと思います。
タロットは決まった未来を読むツールではなく、未来を決める「自分の現在地」を知る為に活用してくださいね。