大アルカナ5・法王 THE HIEROPHANT

大アルカナ5・法王 THE HIEROPHANT

生命のストーリー

人間の社会には、人間の定めた規則やルールがあります。もちろん定められたルール、法律などは守らなければなりません。しかし、そのルールは絶対的に正しいとも限りません。なぜなら、偏った人が有利になるように定められていたり、時には権力者が人民を支配し、コントロールする為に作られたようなルールもあるからです。

例えば、戦争が絶対なる悪である事は、現代のほとんどの人がわかっていると思います。それでも、時代や国のルール次第では、悪ではなく、法で認められた行為になってしまいますね。

ところが、時代が変わっても、国や地域などの環境が違っても、哲学や宗教が異なっても、普遍の正義というものがあるはずです。

これが、人としての道理・道徳なのだと思います。
道理とは、理にかなった道。人として行うべき正しい道の事です。
道徳とは、善悪をわきまえて、正しい行いをなす為の、絶対的なルールです。

もし、全ての人が、道理や道徳を正しく理解し、正しい行動をしていたのならば、世の中から争いや疑いなどが無くなるはずだと思います。しかし残念ながら、人間の心は様々な欲望で濁ってしまっている為、当たり前のことを当たり前としてできなくなっているのかもしれませんね。

実際の社会も、人が決めたルールで裁くしかなく、法に定められていない事はルール違反でないと間違えて認識している人もなんと多い事か・・・。
だから、真実が見えなくなってしまうのだと思います。真実が法やルールに隠されてしまうのでしょうね。

「法王」のカードは、道理や道徳が守られる事で、精神的に信頼を受けたり、精神的な本物の繋がりを得る事ができる事を教えてくれるカードです。

正位置と逆位置の読み方のポイント

「法王」は、道理や道徳に適った時に、正位置として現れます。
それは、他者からのアドバイスで気がつく時かもしれません。自分の心が変わり、本当の正義に目覚めた時かもしれません。どちらにしても「真の正しさ」が心の中に芽生えた証拠だと捉えます。

正しい道理や道徳に生きる事は、人からの信頼が生まれます。または信頼できる相手であるとカードに出る場合もありますね。
法王のカードには二人の教えを聞いている人物が出ていますが、これは精神的に人と人を繋げるという意味もあります。例えばパートナーが結婚を考えている時など。心からの信頼がないと、こうした気持ちは生まれませんよね。

ただし「法王」は精神的な意味が強いので、行動として現れる段階ではありません。

逆位置の場合は、道理や道徳に反している気持ちが起きていると、警告として受け取りましょう。
相手の状況に出る場合は、信頼できない要素があると読めます。仕事の事を読む場合は、表向きは順調に見えても、ちょっと危ない橋を渡っている会社かもと読めますね。

道理や道徳上に正しいかどうかは、表面的にはわからないものだと思います。何かスッキリしない理由があるのは、こうした裏表がある時に現れるのだと思います。
正位置が出た時は、これまで目に見えていなかった障害が見えてきた時に現れることも。逆位置が出た時は、見えない障害にぶつかり、なぜか上手く進めなくなる時に現れます。
この障害とは、現実的な障害ではなく、正義であったり、信頼できるかどうかという精神的な障害です。

私の見解

「法王」は、恐らく多くの方が読みにくいカードだと思います。私も、自分なりの解釈ができるまで、１〜２を争う迷いやすいカードでした。

まずその理由は、法王というものが、日本人にはピンと来ないからです。皇帝はまだイメージできても、法王って何をする人なんだろうって疑問でしかないからだと思います。実際に、いろいろな解釈を読んでも、日本人の日常とはかけ離れたキーワードばかりが並んでいて、リーディングが繋がらないのです。

でも大アルカナだから、無視はできませんよね。それなりに大切なメッセージが来ているはずなんです。

このカードは、確かに法律や裁判に関係する時や、結婚を意識している時などに出る場合もあります。でも、人生の中でそんなに頻繁に裁判するようなものでもないし😅、何回も結婚を考えるものでもないですよね😂

「人としての道に合っているかどうか」とシンプルに読むと、ストーリーが繋がってきます。
正しい道を生きていれば、他者には信頼されますし、そういう相手なら信頼も持てます。
仮に裁判問題を読んだ場合でも、法的に正しいかどうかではなく、人として正義かどうかで読むといいと思います。過去にあった例ですが「この弁護士信用できないね」みたいな事例もありました😅

ちなみに私のイメージですが、あまり宗教や聖職者には関連させて読まない方がいいと思います。何かの宗教に誘われるのかな・・とか。日本の場合、やはりピンと来ないケースの方が多いですし、聖職者が必ず正義とも限らないので😅

むしろ、道理や道徳に正しいか正しくないかって、どういう事なんだろう、とイメージを膨らませてみたらどうでしょうか？このテーマは、毎日のようにニュースから読み取れます。
法的に触れなければいいんだという偏った自由を主張する人達もたくさんいます。中には明らかに犯罪を犯しているのに擁護されてしまうケースなども。

残念ながら現実の世界では、人が決めた法でしか、善悪が決まりません。いわゆる無実の罪みたいなケースもあれば、明らかに人を傷つけているのに罪にならない場合も多々ありますね。これらの最たるものが、今のSNS社会の実態なのかもしれないと見ています。

でも生命の世界では違うと思っています。人として正しい道を歩んでいる人は善業ぜんごうを積み、人として間違っていたら悪業あくごうを積みます。仮に、法律で裁かれる事がなくても、生命の世界では容赦なく厳しい結果が出てくると思っています。今すぐに答えは出なくても、いつか必ず結果は出るのではないでしょうか？

何が本当の正義で、何が悪なのか？人としての正しい道とは何なのか？
常に問い続けていきたいテーマだと思います。

その答えを前もって教えてくれるのが、この法王のカードなのかもしれませんね。