大アルカナ10・運命の輪 WHEEL OF FORTUNE

大アルカナ

大アルカナ10・運命の輪 WHEEL OF FORTUNE

基本的な意味

現実に結果が現れる時。
今が勝負のタイミング。

逆位置

大きなチャンスが来ているが、今はタイミングが少しずれている。

生命のストーリー

私達が生きている現実世界を創るのは、私達の強くて純粋な意思の力です。
私達は意識していなくても、数えきれない程たくさんの未来の中から、ひとつの未来を選んでいます。選んでいるのは無意識の私、宇宙生命の私ではなく、現実に生き、自分で自覚している意識上のこの私です。
もちろん宇宙生命の私は、自分の答えを知っているはず。そして未熟な人間としての私が、宇宙生命の私に合致した時に、本物の決意が、未来を創る意思力が現れるんじゃないかな、と思います。

未来は、私が決意した瞬間に変わっています。目には見えなくても、私が変われば世界は同時に変わっているのだと思います。
しかし、それが目に見える現実の変化となるまでには、時間がかかります。
蒔いた種が、芽を出し、花を咲くまでには、時間差があるようなイメージですね。
だから私達は、忍耐を持ち、何度も何度も決意を繰り返して、来るべきその時を創り続けていく必要があるのでしょうね。

そして現実が変わるその時に、私は何をできるのか?来るべき勝負の時に、勝負を決するような行動を持てるのかが、大切なのだと思います。
「運命の輪」は、そのタイミングを教えてくれるカードです。

決まった運命、変えられない運命などはありません。だから何の努力もせず、運命の時が来るのを待つだけのような人生では、弱々しい人生になってしまいます。
表面上は運がいいように見える人も確かにいますね。でもそれは、過去世の私が努力をし、善業を積んできた結果でしかありません。しかし善業しか積んでないという人はいませんから。なぜなら人類全体としての負の悪業もたくさん積んできていますので。自分が何もしなければ、社会と共に傾いていくようなもの、何もしないという事は、泥舟に乗っているようなものだとイメージすればわかりやすいですね。

この「運命の輪」は、見えない努力を積み重ねてきた、これまでの私の結果です。
この結果を、より大きなチャンスに変えていけるか、見過ごしてしまうのかも、自分次第なのでしょうね。
目の前に現れたボーナスステージを、最大限に活かしていきましょう。

逆位置の読み方のポイント

運命の輪の逆位置は、決して悪い意味では捉えません。単純に「今はタイミングではない」と、人生の転機となるような大きな変化の時はもう芽生えてきているけど、タイミングが少しずれていますよ、というメッセージで捉えるとわかりやすいかもしれません。

先の例で例えると、種を蒔き、芽が出て、花が咲くには、それなりの時間の差が生じます。
生命の観点で捉えた場合は、種を蒔いた瞬間に、花は咲いています。これが、瞬間の生命の中に過去・現在・未来が包括されているという生命の真実です。
しかし時間軸のある三次元の現実世界では、種(過去)・芽(現在)・花(未来)の流れには、タイムラグが生じます。

運命の輪の逆が出た時は、素直に「時が近づいてきている」と前向きに捉えていいと思います。
でもきっと自分の中に、フライングをしてしまいそうな、焦りの気持ちがあるのでしょうね😅
「タイミングを外さないでね!」「まだ最後の詰めの勝負をかけるのは、少し早いよ」というメッセージとして、運命の輪が出るのではないでしょうか?
「今は全然その時じゃないよ」という場合は、そもそもこのカードが出ないんじゃないかなと思ったりもします。

運命といえば、自分の外にある大いなる力が創った変えられないもの、という意味があると思うのですが、過去世で自分で蒔いてしまった種が、業の試練として現実に現れる事は誰もが経験します。これは過去の私の行いが原因なのだと捉える事ができます。
そうであるならば、今の私が、良い種をどんどん蒔く事もできるはず。それは「今」です。つまりいつでも良いのだと思います。むしろ日々、蒔き続けていく事が大切です。

その種が芽を出し花を咲かせる時、運命の輪は、正位置でも逆位置でも、そのタイミングを目に見える形で教えてくれるカードなのだと思います。

私の見解

運命の輪のカードには、東西の様々な思想が反映されているようです。逆に捉えれば、ウェイト版タロットがつくられた当時の思想観が表現されていると解釈する事もできる、貴重なカードだと思います。

運命の輪の真ん中のホイールは、占星術でのホロスコープに該当します。そしてホロスコープにも、仏教思想の曼荼羅の意味が込められています。
運命の輪の周りには、獅子(火)・牡牛(地)・天使(風)・鷲(水)を表し、四大エレメントのエネルギーが表現されています。
このホイール(曼荼羅)は、過去への扉という意味があり、また無意識の世界(霊界)への扉とも解釈されています。スフィンクスは、その扉の門番の役割だといいます。

ここからも、西洋思想に輪廻転生などの東洋思想が融合した思想観を伺える事ができますね。すなわち神智学の影響が、このデッキ誕生の時代的背景になっていると考える事ができます。

従って、この「運命の輪」には、名前の通り、人間には逆らえない運命というものがあって、その運命を読む事が占いの役目であると推察する事ができますね。
運命の輪が動き始めた時は、まさに運命の扉が開いた時、人生の大きな転機が来た事を示していると読まれると思います。

なぜ、このような話をしたかというと、ここを正しく理解しないと「運命の輪」は、大きく読み間違えを起こす可能性もあると思ったからです。
例えば、運命の輪の正位置が出た時、質問者の望まない現実が起きていたとします。鑑定士の捉え方次第では「それがあなたの運命だ!」と決めつけられてもおかしくはありませんね。
運命の輪の逆位置を、運命の歯車が狂い始めた=不幸な運命に巻き込まれていく、と悲観的に解釈する事例もあるかと思います。運命は変えられないものと捉えられていたら、運命の輪の逆は、まさに死刑宣告に近いようなダメージを与えるカードにも成りかねないと心配してしまいます。

だから私は、思想観にはこだわりたいと思っています。
伝統的な意味にこだわっていたら、読み間違えの原因にもなってしまうと思います。
決まった運命などはなく、未来はいくらでも変えていける大前提で、タロットも扱っていきたいと思っています。

運命の輪は、タイミングを教えてくれるカードであって、悲観的には捉えないのも、これが理由です。
このカードから、自分の外にある神秘の力に運命がコントロールされているという解釈を取り除き、あくまでも「今の私」の現在地を知る事で、未来は自分で選んで創っていく為のヒントを探すツールとして、タロットともお付き合いして欲しいと願います。