大アルカナ18・月 THE MOON
基本的な意味
無意識からの不安や恐れ。
真実が見えていないから起こる迷い。
逆位置
不安や恐れから解放されてくる。
迷いが晴れてくる。
生命のストーリー
私達は、幾代もの過去世を輪廻転生し続けてきました。
共に使命を果たそうと誓ったソウルメイトと共に、数多くの人生を歩み続けてきています。
ソウルメイトと交わした約束は、自らの体験を通して、困難を乗り越え、成長し、そして真の幸福を手に入れるという生命のストーリーを体現していく事。誰もが幸せになれる道を、自ら手本になっていこうと約束したのです。
ソウルメイトと共に、数多くの人生を輪廻の旅を続けてきたのは、弱い人間が成長していく過程を、役者のように演じてきたようなものだと思います。
これは、過去世において、ソウルメイトとずっと良好な関係であったとは限らない事を意味しています。
もちろん生命の奥に、深い愛や絆を持ち、時には家族として、時には恋人や伴侶として、時には同志として出逢いながらも、現実世界の試練に直面し、辛い別れ、時には敵として争ったり、愛するが故に憎みあったりという人生を繰り返してきた事がイメージできます。
お互いに使命と決めた道を達成できず、志半ばに終わってしまっり、挫折した人生も数多く体験した事でしょう。
過去世で強烈に心に残る、負の体験は、生命の傷として深く心に残っています。それは業という形で残っている為、同じような人生を繰り返し、傷はどんどん深くなってきているはずです。
この深い心の傷こそが、占星術ではさそり座♏️の象徴とされますが、月のカードでは、無意識の感情=水の中から這い上がってくるザリガニとして表現されています。
私達の無意識の中には、過去世と同じ苦しみを繰り返しをしてしまうのではないかという、理由のわからない恐れや不安が潜んでいます。
人の目には見えず、その不安や恐れの正体がわからないから、迷いも生まれてしまうのでしょうね。
正位置と逆位置の読み方のポイント
月のカードは、カードに描かれた月の顔が象徴しているように、心がスッキリしない状況を表しています。なぜスッキリしないか理解できていないから、不安に包まれてしまうのでしょう。
実際に、月の正位置が出るような時は、精神的にきつい事が多いと思います。
悩みと迷いは違います。悩みとは、具体的な問題が明確になっていて、どう対処して乗り越えていくか、思考がまとまらない状態を悩みといいます。
迷いは、具体的な理由がわかっていません。なぜ不安を感じているのか、何を恐れているのか。もしかしたら恐れている事にすら気がついていないかもしれません。だから精神が保てないのだと思います。
具体的な問題が解決しないうちは、悩みは解決しませんね。しかし迷いは、理由がわかれば心は晴れます。心のモヤモヤは消え、自分が何をどうしていけば良いかという答えが見えてきます。
この月のカードは、過去世からの業、それも数多くの過去世の中でも、心に深い傷を負った過去世での業に答えがある事を表しているように感じます。
カードの2つの塔の向こう側には、真実の答えがあるという意味があるそうです。私はこの2つの塔を、月のノースノード・サウスノードと読みました。占星術で月のノードを読む事で、過去世での業、そしてその乗り越え方を読む事ができるからです。
月の逆位置は、恐れや不安から解放され、迷いが消えていく状況が示されています。具体的には、不安定だった精神状態が、改善されていくのではないでしょうか。
私の見解
占星術では「月」は内面の私を表します。心を指しますね。
心といっても、自分で意識できている心と、自分では意識できていない心があると思います。意識の自分と、無意識の自分ですね。更に無意識の中でも、浅い部分と、深い部分があり、無意識の奥底には宇宙生命の私という、全体の生命と一体になった部分があるようなイメージになるかと思います。
大アルカナ17「星」は、宇宙生命から個として与えられた使命を感じた時に、溢れ出てくる大感情を表していると読みました。
この月のカードは、限りなく意識よりも心ですね。無意識から現れてきたザリガニですらも、本来の使命の意味は忘れてしまい、過去世で苦み続けていた感情が現れたもの。このザリガニですらも、今の自分の意識では理解できていないのですから。
ちなみに月のザリガニは、さそりと読む場合もあるようです。実際にザリガニとさそりは、非常に似た形をしていますね。尻尾の形状からザリガニとわかりますが。生物学上は全く違うと分類される両者なのですが、なぜこんなに似ているのか不思議な気分です。
さそりは、過去世からの業を象徴し、ザリガニはその業から起こる恐れや不安を象徴していると読めなくもないのですが、あくまでイメージの世界とはいえ、両者には何かしらの関係があると思えてしまいます。
月のカードには、犬と狼が何かに向かって吠えています。元々のカードの意味では、月の下にある白い浮遊物、霊を表しているそうなのですが・・・。動物達には見えていても、人間には見えていない事を表現しているのでしょう。
この霊の正体は何なのでしょうか?もちろん現実世界に見える霊ではなく、心の中にある何かであると考えます。
この現実世界は、人間の意思の力が創っているといいます。意思とは、意識している自分の中にあるので、無意識の中にあるものではありませんね。
人間の無意識の中には、いわゆる過去世の記憶が残っています。生命のストーリーを補足すると、過去世で強烈に心に残る体験を負ったとします。数えきれない程の過去世がある訳ですから、私達は何度も何度も死んだ経験がある事になりますね。その死の体験を全部覚えていないはずですから、記憶に残るような体験とは、死よりも重い体験だと想像する事ができます。
死より辛い事って何?となりませんか?これは、約束した人との使命を果たせなかった事だとイメージします。生命のパートナーと別れる事は、人間としての死を迎えるよりも辛い事なのだと想像します。
言葉にするとしたら、過去世での強烈な失敗体験が、無意識の記憶に残っていて、過去世と同じ失敗をしたくない!という心が、恐れや不安の正体なのでしょうね。
恐れや不安に包まれて月のカードが出るような時は、「また過去世と同じ失敗をしてしまうよ」という警告なのかもしれません。
そしてその恐れや不安が、迷いの原因になります。迷いが現実の間違えを引き起こします。意識の自分は過去世を覚えていないので、迷った時に、自分が慣れ親しんだ行動、つまり過去世と同じ行動を取ってしまうのですね。だから、過去世と同じ失敗を、また繰り返してしまいます。
こうして、恐れや不安が、自分の心に間違えを犯す原因をつくり出します。これを人間は、霊のように捉えたのかもしれませんね。そしてこの原因が、同じ失敗をするという現実を創り出します。
この一連のプロセスが、過去世の業が現実の試練として現れるまでの流れです。
業には悪業だけでなく、善業もあるので、これらを称して「生命の個性」と名付け、その傾向を星に照らして具体的に探究しているのが、生命の個性占星術です。
こう考えた時、月のカードは、過去世の業=カルマの具現化を暗示しているのかもしれません。
さて、過去世の業の試練に直面する事は、決して悪い事ではありません。生命の物語としては、通るべき道なのだと思います。むしろ、この試練をどう乗り越え、大アルカナ17星で予感した生命の使命の道に入っていけるかが大切です。
いよいよ次の大アルカナ19太陽からの物語が始まります・・・。