小アルカナ☆ソード5 SWORDS V

ソード

ソード5 SWORDS V ★利己

人の社会には、それぞれ考え方の違った人が集まっても、集団として成り立つように、規則、ルールというものがあります。
動物の世界には、集団はあっても規則はありません。恐らく必要ないのです。規則やルールは、「思考」する人間にこそ必要なものなのでしょうね。

また人間には、時代が変わっても、国や人種が違っても、決して変わらぬ「人としての道」という普遍的なものがあると思います。
人としての道には、決まりごとはありませんが、少し考えればわかることだと思います。
「これをしたら、他の人はどう思うか」という道徳で判断すれば良いのですね。

ところが時に人は、これを逆手に取り、ルールや法律に違反さえしていなければ、何をしてもいいんだ、と思い込んでしまうことがあります。
日常のあらゆるシーンで、このようなものを目にします。特に現代においては、ネットの中の社会に、この傾向が顕著に現れています。
悪いことをしても、目立ちさえすればアクセスが集まり、お金が稼げる。顔さえ見えなければ、何を言っても良い。
他者がどう思うかなどは何も考えていません。自分にさえ利があれば良しと思ってしまうのでしょうか?

利己の心に囚われた時は、人としての道を踏み外しています。この結果は、いつか必ず出てくるはずですね。

リーディングのポイント

ソード5のカードは、空に激しい風が吹いています。まるで激しく吹き荒れる、思惑が渦巻いているかのようですね。
この絵柄は、亡くなった人を嘆いている人々が描かれています。落ちている剣は、亡くなった人の剣です。
そして「どうせ死んでしまった人のものだから、もらっても構わないだろう」と、まるで「悪だくみ」をするような表情で、剣を拾っていく人物が描かれています。

まさに邪な考えを持って、自分の利益だけを求めているかのようです。

「悪だくみ」と言えば、日常でそう誰でもすることではないと感じてしまいますが、このカードの示唆することは、日常にありふれています。
要は、「人としての道」を無視してしまっているということ。
こっそり剣を持っていこうとする様子が、頭のどこかでは、よくないことだと感じていて、それを正当化するような思考を持つことで、「悪くないんだ」と思い込んでしまっているということ。

他者の気持ちに立つことに目をつぶり、自分の利益だけしか考えないから、こういう心になってしまうのでしょうね。

正位置も逆位置も、心が捻じ曲がっている状況には変わりありません。
こうした行為には、いつか必ず、それ相応の結果が現れます。逆位置は、奪ったもの以上の何かを、失っていく過程を示唆していると読みます。

要は早く報いを受けるか、後で大きな報となって返ってくるかの違いなので、
このカードが出た時は、自分の考えが、どこか「人としての道」を無視していないか振り返ってみてくださいね。