大アルカナ0・愚者 THE FOOL

大アルカナ

大アルカナ0・愚者 THE FOOL

基本的な意味1

現実だけしか見ていない為、真実は掴めない。
心の声に従って、未知の世界に足を踏み出そう。

基本的な意味2

非現実的な夢や幻想、誤った思い込みで、現実が見えていない、現実を見ていない。

生命のストーリー

私達人間は、宇宙生命と同一の「生命」です。
私達人間は、この地球という現実の世界に生きています。

そのどちらが正しいのでしょうか?どちらが間違えているのでしょうか?

宇宙生命への帰属的欲求を高め、真理の探究を進めていくと、この現実世界が創られたもの、虚構のような存在と捉えてしまうかもしれません。現実を軽視し、魂の世界を重んじる思考に陥る話もよく聞きます。

宇宙生命からの分離的欲求が高まりすぎてしまうと、現実のみに執着し、真実が見えなくなります。現実的な欲のみを求めていくと「人として正しい道」という生き方すらも見失っていく傾向もあります。

生命の真実は、宇宙生命と同一である私、現実世界に人として生きる私、そのどちらも正しく、どちらも間違えではないのです。
これを、どちらかにでも偏ってしまった場合、道を間違えてしまいます。

フールのカードは、この1枚でそれを示しているのではないでしょうか?

目に見えている現実のみに捉われたり、思考だけで真理を追求していたら、真理には絶対に辿り着きません。時には、心からの声のみに従い、自分でつくり出した常識に捉われず、今までに経験した事のない未知の世界に足を踏み出す事も大切です。

自分の中にある思い込みや幻想、現実性の無い夢などに囚われて、周りの確かな現実を見ず、何も考えないかのように行動したら、転落するのがあたり前です。

同じ一歩を踏み出すにしても、その人の「生命の現在地」次第で、道は大きく変わってしまいます。

タロットの読み方のポイントh

フールは、その質問や状況によって、全く違う意味となって出てきます。一見は同じ状況に見えても、その人の生命の現在地によって、全く違う結果になる事を示唆しているカードだと思いました。

今回改めて、フールの本質は何なんだろうと考えました。実際のリーディングでも、どちらの意味も出てきますし、どちらも正しく、どちらも間違っていると言えないのです。
その時、ピンと来ました。あ、これがフールの本質なのだと。

もし質問者が、現実ばかりを見て、精神性の探究に足を踏み出せないような場合は、自分の常識や、思い込みの思考を捨てて、直感に頼り足を踏み出してみて!というアドバイスになるでしょう。
もし質問者は、現実をしっかり見つめず、フワフワした夢ばかりを見ていたり、幻想を追っかけているような状態であったら、そのまま進んだら転落するよというメッセージになるでしょう。

そしてどちらかになるかは、その人の人間性であったり、質問している内容、つまりヒヤリングの段階で既に見えてくるのではないかと思います。

フールの場合、逆位置でも正位置と同じに読みます。そもそも正位置に相反する意味が込められており、逆にしたら何かが変わるわけでもないからです。

そしてフールには、どんなものにも二面性があるという事を教えられていると思いました。
例えば、タロットを引いて良いカード、良い結果が出たとします。それは今の自分の現在地が良いという事です。しかし、結果が良かったからといって、努力をやめてしまったら、未来は悪い方向に転がる可能性があります。
逆に悪い結果が出ても、そこで何かに気がつき、何かを改めた瞬間、未来は良い方向に向かい始めます。
これは、良いカードが出ても、結果として悪くなる場合があり、悪いカードが出ても、結果として良くなる場合があるという事。

実際に悩みや困難に直面して苦しんでいる人が不幸とは限らず、その状況に負けてしまえば不幸になり、状況を乗り越えれば幸福になっていくのと同じですね。

こうして考えると、全てのカードに、良いも悪いも無く、良いか悪いかの結果を出していくのは、あくまで質問者本人だという事です。リーディングをする人は、良い方向に導いてあげる役目があるだけですね。

私の見解

フールのカードは0番です。では0番とは、並べるとどこに位置するのか決まりが無いカードです。人によっては1番のマジシャンの前に置く場合もあるし、21番のワールドの後に置く場合もあります。

フールの意味を考えると、目の前が崖だという現実が見えていない場合は、名の通り「愚かな人」と捉え、マジシャンの前が適しているかもしれません。
真実を知り、崖のように見える先には、実は道が続いているんだ、と捉えた場合、愚かに見えても、実は真実を悟っている人として、ワールドの後に来るのかもしれません。

結局、目に見えている状況だけでは、良い悪いを決められないという事ですね。
最終的には、自分がこれからどうしていくかで、結果は変わってくるのですから。

このフールのカードは、タロットリーディング全体の本質を表したカードのように思えてきました。

リーディングをするにあたり、カードの意味を当てはめて読んでいるだけでは、真実は読めないよと。フールの基本的な意味1ですね。
リーディングする側の思い込みで「未来はこうなる!」と読んでしまっても、それは間違えだよと。フールの基本的な意味2です。

タロットには「こうでなくてはいけない」というルールは無いはずです。だから感じた通りに読んでいけばいいのだと思います。時にはカードの本来の意味とひっくり返っても、そう感じたのなら、それがカードからのメッセージなのだと思います。

そして何かの結論を出すものではなく、あくまで出たカードから何かしらのヒントを得て、今の現在地の中に何かしらの問題点や改善点がないかを探し出し、それを変えていく努力をすればいいだけです。もちろん納得のいく結果だったら、自信を固めて前に進んでいく事です。

さて、これで大アルカナ22枚の全てのストーリーが終わりました。
もちろんこれは、私なりに捉えた、私なりの解釈なので、必ずしもこう読まなくてはいけないというものではありません。また、本来の意味で読んで、それが間違えという事でもないと思います。

フールのカードは、タロットはもっと自由に、自分の感性で読んでいいんですよ!と教えてくれているような気がしませんか?